温泉コラム


温泉は疲れる
 「温泉に行ってきた」と聞くと、疲れが取れていいなぁなと思うでしょうね。
でも、実は温泉は疲れるんです。
疲れる? おかしな話ですね。
もちろん精神的にはリラックスします。
しかし肉体的には疲れる場合があるんです。
ほら、温泉にゆっくり入ったら眠くなるでしょう。これは疲れるから眠くなる・・・
 温泉はいろんな含有成分が入っています。
日々入る家庭の風呂は、水道水を沸かすので成分はほとんどありません。
おんなじ時間入浴すると、疲れるのは温泉。
と言うこは、成分の多さが体を疲れさせるのです。
皮膚は細胞と外界の境、つまりバリアの役目を果たします。
温泉が体に良いのはバリアを通して温泉の成分が体に入ってくるから効くのですが、あまりその効果が強いと体には負担となります。
その負担が体を疲れさせるんです。
湯あたりは、温泉によって体が疲れさせられた現象なのです。
 温泉が何故体に良いかというと、温泉成分の賜物ですが、いわば薬に浸かっているようなもの。
シップに近いかな・・・
西洋医学で言うところの○○の為の薬ではなくって、成分が薄い万能薬だと思えば話が早い。
薬に浸かっているのだから、入り過ぎは負担がかかるのです。
といっても、薄め目の万能薬だから言うほど害ではないので念のため。
 さて温泉法では、鉱水1kg中1g以上の含有成分があれば温泉とされます。
○○温泉の元などと言う入浴剤もありますが、お風呂200リットルに一袋、30g程度なので温泉の成分量には及びません。
だから疲れない。
もちろん温泉にも成分が薄いのもあるので一概に成分量だけの話では終わらないのですがね。
 疲れない入浴法はないものかと?
もちろん入り方ありますよ。
ゆっくり入らないことです。
せっかく温泉に来たからと、ついつい長湯すると疲れてしまいます。
そんな時は、こまめに入浴することをお勧めします。
10分程度の入浴をこまめにするのが良いと思います。
10分浸かって、十分な水分を取って休憩、時間を置いてからまた入る・・・
こうすることで過剰に温泉成分が体に刺激を与えることを回避し、新陳代謝を高め老廃物を排出させやすくなります。
もちろん、体に対する負担がゼロというわけではありません。
長く浸かるよりも負担が大幅に軽減されるのです。
 せっかく温泉に来たからと、欲張った入浴はかえって体に負担をかけるのでご注意を。
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浴室の写真の見方
 温泉のガイドブックを見ていると温泉に行きたくなることがあります。
料理の写真や、お風呂の写真は見ているだけでもわくわくしますね。
最近は温泉の詳しいデータが載っているものもあり、親切なものになると泉質・泉温・掛け流しなどのデータも記載してます。
そこまであればしめたもので、良い温泉かを判断しやすいです。
なかには源泉掛け流しと書かれていても、行って見れば「違うやん」ってこともあったりしますが・・・
温泉データが載っている本はまだまだ少なく、どこの温泉に行くかを吟味するのはコメントやインターネットで調べることになると思います。
 さて、ガイド本などで温泉の質が良さそうであろう所を見分けるのに、えびらは浴室が写っている写真を参考にします。
そこのお風呂がオーバーフローさせているかを見るのです。
循環湯の場合、やはり温泉の新鮮さに欠けてしまうため、半循環であっても浴槽からお湯が溢れている方が湯の質は良いように思われます。
浴室のロケーションや施設は写真の制約もあるので全て掲載されているわけでは無いでしょう。
またこれから書く判別法が有効なアングルの写真出ない場合もありますので注意が必要です。
 では湯船と床が写っている写真があれば、床が濡れているかを見ましょう。
濡れていれば掛け流ししている可能性が考えられるからです。
中には浴室の床が乾いている写真を見かけることがありますが、その場合はほぼ循環だと思っていいでしょう。
次に湿っていたとしても、それが何による湿りかを見極めねばなりません。
一番分かりやすいのは、床面の湿りが明らかに湯が流れている感が見てとれるものです。それなら間違えなく掛け流し。
湿っていても、かかり湯によるものや、体から落ちる水分がたまったという場合もありますよ。
聞いた話ですが、カメラマンもなかなか考えるようで、床が乾いていればわざと湯を流し、浴室に躍動感を持たせようとします。これに引っかからないようにしてください。
また、湯気で写真が撮れない場合は水をシャワーで浴室無いに撒き、湯気の発生を抑えると言う方法もあるようです。やはり乾いた床よりも濡れている方が見ていても好感触を受けますよね。
カメラマンも少しでもいい写真を撮りたいので仕方ない行為です。
最初は湯がうっすらと厚みをもって流れている様子を写真から判別しにくいですが、意識してみていると分かるようになってくると思いますよ。
 写真の見方は、あくまでもそういう見方があるというだけで温泉選びの参考程度になればいいかと思います。
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色つきの温泉について
 白骨温泉の事件は温泉利用者にとって衝撃的なものでした。
簡単に説明すると、白骨温泉は白濁の湯。
それが近年白濁しなくなってきたので、草津温泉のハップ(入浴剤)をいれ白く濁るようにしていたというものです。
もちろん、白骨温泉には多数の源泉が存在し、一部の源泉において起こった事件ですから、白骨温泉全体のことではありません。
このような事件になったのも、イメージの問題で、白骨=白濁と言う固定観念があってこそ。
では色付きの温泉について考えて見ましょう。
 温泉に色が付くのにはいろいろな要因があります。
それを簡単に表現すると、温泉が劣化して色が付いたということになります。
たとえば、リンゴの皮を剥いてしばらく放置すると色が茶色になります。
また、バナナの皮を剥くと、身・皮ともに変色すします。
空気中の酸素とリンゴ・バナナが結びつき、酸化反応して変色するのが原因です。
それは、温泉でも起こります。
どんな泉質の温泉であっても、湧出時は無色透明なのですが、酸素に触れると徐々に色が付いてきます。
泉質によっては時間がたっても無色透明のままので変化しない温泉の方が多いのですが、一部の泉質では色が付きます。
他の原因として、湯にかかる圧力の変化で温泉成分が現れ、色が付いたように見えることがあります。
また、湯を加熱したり他の成分を混ぜることでも色に変化が出ます。
乱暴ですが、成分別の色の変化はこのようになります。
鉄分=錆色・オレンジ色・赤系
硫黄分=白系・ブルー系・緑系
色が変わるには上記以外にもいろいろな成分との相乗効果がありますので、鉄分や硫黄分が含まれなくても変色する場合がありますし、それらが含まれていても無色のままの場合もあります。
温泉に色がつくと言うことは、リンゴやバナナの変色の例と同じく、温泉水が古くなったため、色が付いたに他なりません。有色の湯に入ると言うことは、古い湯に入っていることなんですね。
実際、白骨温泉の源泉は無色であり、新鮮な湯が注がれる湯船では無色の湯に入ることが出来ます。
白骨の湯は湧出後、時間が経過すると白濁を起こします。また、加熱することで自然界よりも早く白濁します。
それが世間で言うところの白骨温泉。乳白色の湯というわけです。
白骨の源泉に入ると、無色ですが温泉としてとても新鮮で居心地のいい湯を堪能できます。
えびらは白濁した白骨の湯よりも無色の源泉風呂にいつまでも入っていたいと感じました。それだけ湧きたての湯が良いと言うことです。
本来なら、食べ物や温泉は新鮮にこしたことは無く、有色の湯よりも無色のものに触れる方が効能も高く体にも良いのですが、精神的には色の付いたお湯はいかにも効きそうですし、温泉に来たという満足感を感じることが出来ます。
実際白骨温泉が人気なのも、乳白色の湯に入れると言うことに他なりません。
やはり乳白色の温泉に浸かっていると、なんともいえない満足感を感じることが出来ますし、精神的に温泉効果を感じることが出来るのです。
 さて、白骨温泉の事件ですが、何故濁らなくなったかと言うと、単に源泉の成分が変化したに他なりません。
温泉は生き物なので、変しても仕方ないですし、それを維持するのは人間の力では出来ません。
実際、熱海の温泉は一昔前と比べて泉質が別物になってしまっています。
白骨温泉が濁らなくなったのも、案外公にする方が良かったのかもしれません。
とはいえ、温泉について理解している人はそう多くないでしょうけどもね。
 色が付いていても嫌われる温泉があります。
赤い色になる湯は体に色がつくとか、汚いと言うクレームで無色に濾過している所があります。
白色が良くて赤色が悪いとは変な話ですよね。
これもイメージでしょうか?
白は清潔やミルクを感じさせ、赤は錆色やタオルが赤くなり、体にも色が付くので不潔をイメージしてしまいやすいとか。
どちらも温泉に色が付いているのに変わりが無いのですが・・・
つまり、有色の温泉は我々の取り方しだいだと言うことです。
ほら、お風呂の入浴剤は無色のものがほとんど無いでしょう。
ついでに言うと、入浴剤で人気の色は白色だそうです。
 有色の温泉が良いとか悪いとかを書いたわけではありませんが、色付きの温泉とは何なのか、我々の認識は本当に真実を捉えているのかと言うことについて理解していただけれけば幸いです。
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源泉掛け流しとは
 最近不祥事や、温泉通の方々の働きで「源泉掛け流し」という言葉を耳にすることが多くなりました。
もちろん温泉のガイド本でも、源泉掛け流しであるか否かを明記している物も多い。
最近ではその表現が過剰に扱われている感もしないわけではないのだが・・・
 さて、「源泉掛け流し」という表現にはさまざまなとらえ方があるようで、必ずしも一つの意味では無いようです。
ともすれば、その表現を逆手にとり、集客をもくろむ施設もあるようにも思えてならない。
そもそも温泉法はザル法ともいわれている。
よって、それに記される温泉定義もザルであり、それに伴う源泉掛け流しという表現もザル。
源泉を加水・加熱・源泉の循環・源泉への混ぜ物・塩素消毒、それらをしていても源泉を使用し、湯船からあふれさせていれば広い意味では源泉掛け流しのと言ってもよい。
実際ある温泉施設では、源泉掛け流しと書かれた湯船にも関わらず、塩素を加えた湯が注がれていた。
乱暴だが○○温泉と名前の付く施設では、地中から出た湯を湯船に注いているであろうから、温泉施設の湯船は全て源泉と表現してもおかしくは無い。
そうなると「源泉浴槽以外の湯船は何がはいっているの」と言う状況になるのだが・・・
 湯船から湯をあふれさせていることを掛け流しと表現しているが、これも曖昧。
あふれさせている事を掛け流し思う人がいます。
その考えからすると、あふれた分を循環にまわしても掛け流しなんですね。
これも実際、あふれさせた湯を循環しているのにも関わらず「掛け流し」と表現している施設もあった。
もうこうなれば、何が正しいのかと思ってしまう。
 本来こうあって欲しいと望む源泉掛け流しの形態は、地下から湧いた湯を加熱や加水無しにそのまま浴槽に流し込み、湯船からあふれさせるというもの。
しかし、このような条件を満たす温泉が果たしてどれくらい有るのだろうか。
実際かなり少ないだろ。なぜなら、ある程度の湯温・湯量を必要だから。
源泉湧出量が少なくとも、創意工夫で少しでもお客様に源泉を楽しんでもらおうとする施設もある。
源泉を一部の小さな浴槽でのみ掛け流しにしている所がそう。
他の浴槽は、白湯や循環利用だが、一部でも本物の温泉に触れれる所を用意してくれているのはありがたい。
その場合、湯温がなく加熱していてもいいではないか。あえて冷泉を売り物にしている温泉もある。
加熱するならば、やはり外部加熱、湯船に注ぐ前に加熱されるのが理想的。
なぜなら、浴槽内から吸い込んでの加熱は循環と間違われてしまう。
これではせっかくの工夫も台無しとなってしまう。
その他に、蒸気をくぐらせたり、加熱した鉄管を湯船に沈めているところもある。
湯温が高過ぎる場合は加水せずに、コストと手間がかかってしまうが熱交換器で加水することなく温度を下げているところもある。
湯の扱い次第で温泉は生きも死にもする。
 一部の浴槽で源泉掛け流しをしているだけで、ガイド本や宣伝に源泉掛け流しの施設だと表記するのはおかしいと考える人がいる。
しかし、源泉の量や温度の制約が有る中で、源泉風呂に入れるようにとの配慮が感じられるだけ良い施設だと私は考える。
もっともいけないのは、源泉風呂と表記しているにもかかわらず、それに似合わない状況で放置している施設ではないだろうか。
また、源泉掛け流しに出来るだけの湯温・湯量があるにも関わらずそうしていないところもある。
せっかくの温泉がもったいないので、そういう所は是非源泉掛け流し槽を造ってもらいたい。
 せっかく源泉風呂が有るのに、利用者の意識が乏しいのかそれとも源泉風呂が狭くて快適ではないのか、多くの利用者が白湯の大浴場やジャグジー、サウナなどに集まっている場合が見受けられる。
温泉施設では全ての浴槽が温泉だと思っているのか、それとも源泉風呂のありがたさを理解していないからでは無いだろうか。
その点に関しては、各温泉施設でしっかりした説明を表記してもらうのはさることながら、温泉本や温泉好の人々のホームページなどから正しい知識を広めねばならないだろう。
 さて、あなたにとっての源泉掛け流しとはなんですか?
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子宝の湯
 温泉には子宝の湯と呼ばれるところが少なからずあります。
「ほんとに温泉で子供が出来るの?」不妊に悩む夫婦ならずとも不思議に思ってしまうものです。
温泉と妊娠の関係を少し考えてみましょう。
 子宝の湯に行けば、必ず子供を授かるわけではありません。
正確には、妊娠の可能性が少し高く成ると言った方がいいでしょう。
 温泉や温泉地は、体調や環境により妊娠しにくい状態になっている体調を整える手助けをしてくれるだけなので、病気等で子供が出来ない場合は残念ながら温泉効果は望めないのです。
 では、温泉の何が可能性を高めてくれるのか考えてみましょう。

その@ 温泉成分効果
 ラジウム泉・硫酸泉・食塩泉・鉄泉・硫黄泉・単純泉・炭酸泉・重曹泉などなど全国の子宝の湯は泉質が多岐にわたっています。
結局なんでも良いの? となってしまいますが、それぞれに理由があります。
ラジウム泉・・・生殖器機能向上
硫酸泉・・・膣内の酸性度を正常な状態に調整
食塩泉・単純泉・炭酸泉・・・体温の保持
鉄泉・・・鉄分の補給
硫黄泉・・・殺菌
重曹泉・・・古い角質の除去(清潔化)
などですが、複雑な温泉成分が交じり合い、上記の効果はほんの一部にしか過ぎません。
一般的に温泉成分や、温泉刺激は、ホルモンの状態や精神状態を正常な状態に整えてくれます。
また、温泉の温熱が冷えを解消し、新陳代謝を向上し、生きる活力を体に与えてくれるのです。

そのA 転地効果
 日頃の環境を変え、旅をすることはストレスからの開放をもたらしてくれます。
日々の生活では知らず知らずのうちに、精神的なプレッシャーを受けている場合もあるのです。
日本人にとっての温泉は、リラックスをもたらしてくれるものなのです。
リラックスすることで、抑圧から解放された肉体・精神が本来有るべき状態に近づくことが出来るのです。

そのB 栄養素
 偏った食生活により、ビタミンやホルモンのバランスが崩れている場合があります。
規則正しい食生活で体調を整えるのも必要です。


そのC 生活リズム
 いくら子宝の湯だからといっても、一泊二日で効果が出るわけではないのです。
もちろん、運がよければ短い滞在でも効果が出ることもあります。
理想はしばらく温泉地に留まる事。
規則正しい食生活、睡眠等で不規則な生活を整えるのも必要です。

そのD 神仏効果
 子宝の湯と呼ばれる温泉地には神仏が祭られていることが多いようです。
神頼みも子宝の湯の効果の一つなのかもしれませんね。

 温泉は万能薬ではないのですが、西洋医学のように〇〇に効くという特効効果もありません。
簡単に言えば、ほんの少しだけ体に良い薬水と言うところでしょうか。
そんな薬水に浸されたり、飲用することで、万病に効果があるのです。
 不妊の原因の中には、冷え性・ホルモンバランス異常・ストレス・ビタミンの不足・自律神経障害・体調不良・精力、体力の低下など、色々な原因があります。
子宝の湯と言われる温泉は、それらを正常な状態にする手助けをしてくれるのです。
 体調を正常化され、かつ夫婦のタイミングがうまく合えば、子供を授かれるのだと思います。
ですので、子宝の湯に行ったからといって必ず子供が出来るわけではありません。

 ココではあえて子宝の温泉名をあげません。
温泉との相性もありますし、夫婦で共に温泉地を調べると言う行為も必要だからです。
 子宝の湯と付いている温泉ならどこでも良いというわけではありません。
逆に子宝の湯と呼ばれなくてもいいのです。
良い温泉に行けばおのずとよい結果が得られますし、過去において子宝の湯であっても、現状は湯の管理状態などで子宝の湯に当てはまらない所もあるので注意が必要です。
 良い温泉としては、なるべく自然が多い所(自然のリラックス効果)
塩素消毒が無い所(新鮮な源泉と触れ合えるのが好ましい)
湯船での温度は熱からず、冷たからず(熱いと精巣機能の低下、冷たいと新陳代謝の低下)

 さて、注意点もあります。
いくら子宝の湯だからといって、無理して入りすぎてはいけません。
逆に体に悪いです。温泉や体に合った入浴方法、回数、時間で利用してください。
妊娠時の初期と末期は温泉入浴は良くありません。
子宮への血流増大などで胎児によくない影響を与えるからです。各温泉施設の方と相談の上利用したほうがいいでしょう。
 子宝だからといって、浴室や湯内では事に及ばないでください。温泉は皆のものです。
常識ある行動をお願いします。

 体にいい食材も、料理次第では薬にも毒にもなります。
温泉もそうである事をお忘れなく。

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ゑびら温泉 http://www2.sensyu.ne.jp/b-unit/