心の歌

平成20年8月

      うつしみの命いただき六年目
  薬飲むこと忘れるほどに  心臓のエコー検査で吾の中の
  人工弁の調子良しとう
  古座川の一枚岩に跳ね返り
  美し流れが光りつつ行く   古座川の流れに逆らいジヤンプする
  美し浅瀬に鮎のひかりぬ          
   一夜さ中ウイルス検査してくれる
  得たいの知れぬ君は何者     あさぼらけ白き一筋音もなく
  飛行機雲は伸びてひろがる
 



  ほしいものあれば言えよと一言を
   息子がいいて病室いで行く離れてもいつも気にかけ電話くるる
  娘は友なり母となりても
  梅雨晴れの暁光眩しむわが庭に
  アカパンサスの群れて直ぐ立つ

やわらかく熟れたる李丸かじり
  すればたなそこ汁のしたたる
 なつ最中伏見の山へ登りなば
  老いも若きも皆あせまみれ

 せせらぎの音優しくて心地よく
  あせだく吾に涼しさくれぬ

 汗をかき喉もかわきて登りつめし
  宇治金時はオアシスのごと
     キーキーと車輪きしませ高野号
  静かな山間うねりつつゆく

高野線紀伊細川の駅の隅
  つりがね草は白く群れ咲く

TOP 人の世の来し方に似る川流れ
  穏しき時も荒れたる時も

久にきたいよやかの郷雨模様
  和泉峰すべて霧に覆わる