加藤正三兄とのこと

 
 加藤正三兄との初めての出会いは、昭和32年4月、私が大分大学学芸学部(現:大分大学教育福祉科学部)に入学し、教育心理学専攻の新入生歓迎会での時である。
 加藤兄は私より1年先輩の2年生であった。
 その歓迎会で今でも思い出すのは、3年生の堀さんが「僕は青年心理の専攻で、テーマは主として女性にモテるコツ」と言っていたこと。
 加藤兄が「哲学は昔、テチガイといっていたが、いつのまにかテツガクになった。まあ大したことはないもんや」 同級生の大賀さんを「心理きってのハンサムボーイ」と我々に紹介されたことが印象に残っている。
 背の高い小野征男さんのことを「ガニ、ガニ」と呼んでいつも一緒にいたことが思い出される。
 私は寺の徒弟であったため、1年間は髪を伸ばせなかったが、「田島さん(私の旧姓)、ユル・ブリンナーは流行らんで。はよう伸ばし」と言ってくれた。以来、弟のようにいやそれ以上に可愛がってくれ、いろいろ面倒をみていただいた。教員採用試験の際、いろいろな参考書を下さり「指導要領をしっかり読んでおきなさい」と言われた。
 昭和35年5月、加藤兄の初めての赴任地である臼杵小学校に呼ばれ、担任されていた4年生の授業を見学させていただいた。確か国語の授業だったと思うが、男の子が「先生、女子には‘さん‘づけをするのに、ぼくらを呼び捨てにするのはなぜよ?」と文句をいうと、「俺が女に弱いのは知っちょろうが」と返していた。その夜、下宿先(記憶に間違いなければ青柳さんという靴屋さん)に案内していただき、ご馳走になった。
 4年間ほど年賀状のやりとりがあったが、岸和田に来てからは30年間ほどご無沙汰をした。平成9年に大学の同窓会誌に、加藤兄が教育功労賞(文部大臣表彰)受賞の記事が掲載されているのを拝見して、交流が復活した。
 昨年(平成16年)の1月、ご多忙の最中にも拘らず、阿弥陀寺文殊会のために遠路わざわざお越し頂き、「今、問われている子育てについて」の演題で1時間半を時にはユーモアを交え、熱っぽく語りかけ、聴いている方々に多大の感銘を与えられた。
 今年も再演を約束されたが、四大不調のため実現できなかった。
 ゆっくりと療養されて体調を整えられ、再会できることを願うや切である。(正)
      大学時代に恩師とともに
(前列右から3人目が加藤兄、前列左から2人目が私)

 


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