貧血、冷え症は共通の疾患のようにいわれていますが、冷え症は末梢の血液循環が悪い状態を指します。貧血を伴う冷え症もありますが、他に自律神経の緊張が強いために血管の内径が狭くなり、血液の保有と循環が悪くなり冷たく感じることもあります。
また「頭に血がのぼって手足が冷たい」とよくいいますが、どこかで血液をたくさん必要としている場合には胃や手足へ行く血液が少なくなります。そうすると胃の働きが鈍り食欲不振になったり、消化不良を起こします。また足先がしびれたり、お風呂で温まったり、コタツを入れてもいっこうに暖かく感じないといった症状が表れてきます。
心臓から送り出される動脈血は大変多いように思われがちですが、全血の20%にすぎません。残りの80%は毛細血管内や静脈血中に存在しているのです。手足が朝起きる時や夕方になるとむくんでくるというのは静脈血のうっ滞といえます。できるだけスムーズに毛細血管で赤血球の酸素の供給をすませ、早く静脈中に戻り、心臓に早く帰って来ることができれば、動脈血量を増やして、より温まった身体を保持することができるのです。
ところが、赤血球は心臓の送り出す血圧のポンプ圧によって勢いよく、動脈を通過して、いよいよ各細胞の前まで来て毛細血管という内径4から6ミクロン程の極めて細いパイプの中に入って行きます。(上図)毛細血管の中は圧力がかかっておりません。しかも赤血球は毛細血管の内径よりも大きく、自分自身をゴムまりのように柔らかく、変形してくぐり抜けて行かねばなりません。
健康人なら楽々と通過するのに、慢性病を持っていたり、更年期障害がひどい時や、気分的にストレスがかかっているような時は、赤血球は柔らかくならず、むしろ赤血球が硬くなっているのです。
これでは細い毛細血管を通過していくスピードが落ちてしまうために、細胞への酸素も十分に行き届かず、冷え症の症状も表れてきます。末梢循環がこのようにして悪化してきますと、しばしば肩こり、腰痛症も起こってきます。
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