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 耳なり                               
 中医学で考える耳鳴りのメカニズム 

             

 
耳鳴りのメカニズムには二つのタイブ
 中医学では、外から侵入したり、体内で生まれた病因によって、耳の感覚が妨げられたり、内臓の機能が衰え、全
 身の活動に必要な基本的な栄養物質が不足することによって、耳鳴りが起こると考えます。
 病因によって起こる耳鳴りには「
実証」、栄養物質の不足によって起こる耳鳴りは「虚証」といいます。

 実証の耳鳴りの特徴は突然起こることが多く、音も大きく、熱の症状を伴ううなど、激しいのが特徴で、どちらか
 というと若い人によくみられます。これに対して、虚証の耳鳴りは、徐々に始まり、かすかな音が継続するのが特徴
 で、中高年以降の人によくみられます。

 しかし、病因物質が侵入したり生まれるのは、もともとは内臓の機能が衰えていたり、体力が弱っているからです。
 そういう意味では、実証の耳鳴りは、病因物質によって起こっていても、根本的な原因は内臓機能の衰えにある
 タイプといえます。

 またこの虚は、ほとんどの場合、腎気の衰えが関係しています。なお、耳鳴りと難聴は同じメカニズムで起こると
 考えます。耳鳴りは難聴の程度の軽いもので、耳鳴りが進むと難聴になります。
    
 からだの活動は五つ内臓を中心に行われる

 中医学では、ものごとには物質的の「陰」と、機能的な「陽」があると考え、これにしたがって精・血・津液を陰に、気を陽に
 分けています。

 からだの活動は、五臓(腎・肝・心・脾・肺)の陰と陽が平衡し、助けあい、制約しあいながら発展することによって行われ
 ます。五臓をはじめ、六腑(膀胱・胆・小腸・胃・大腸・三焦)やそのほかの器官、組織などが正常に働くためには、滋養や潤
 いを供給する基本物質が十分にあり、しかも正常に働かなければなりません。

 この陰と陽を合わせたものが「正気」で、病因物質(邪)を除き、病気を治すための基本機能です。精は成長や発育、成熟、
 老化といった、生命エネルギーの大元になる基本物質であると同時に、気・血・津液につくり変えられて正気の基礎になり
 ます。

 精は、両親から受け継いだ「先天の精」と、飲食物が脾胃で消化吸収されたのちに五臓の働きによってできる「後天の精」
 からなり、腎にたくわえられます。

 また、気は生理機能、血は滋養物質、津液は正常な水液で、飲食物からつくられたり、精からつくり変えられてできます。
 反対に、気・血・津液の精製された部分は精となって腎にたくわえられます。 

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 耳はすべて内臓とつながっている

 耳や目などの感覚器は、それぞれ五臓の機能と密接に関係し、耳は腎と最も関連が深いと考えられています。また、骨や
 髄は精からつくられ、髄が集まって脳ができるという考え方から、感覚器とつながる脳も、腎と密接に関係していると言え
 ます。

 一方、全身には、基本物質の道路である「経絡」が無数に張りめぐらされています。
 「経」は太いもので、細いものが「絡」です。最も太い十二の経を「十二経脈」といい、それぞれひとつの臓や腑と直接つな
 がっています。

 耳は経脈によって腎と直接つながっており、腎から基本物質(精・気・血・津液)を受けて機能しています。

 腎が正常に機能すれば耳もよく聞こえるのです。さらに「耳はすべての脈が集まるところである」といわれるように、耳に
 はそのほかの経脈も通じていたり、すぐ近くを通っています。したがって、腎以外の内臓の状態も耳の機能に影響するとい
 えます。ですから、腎の機能が異常になることはもちろん、そのほかの内臓の機能が異常になった場合にも、精や気、血や
 津液が不足して耳が栄養不良の状熊となり、耳鳴りが起こる可能性があります。

 また、侵入したり体内で生まれた病因物質(邪)が経脈をふさぐと、耳鳴りが起こります。
 しかし、どのようなメカニズムで起こるとしても、ほとんどの耳鳴りは、腎の機能の衰えが前提条件になります。

 経脈をふさいで実の耳鳴りをひき起こす主な病因物質は「風」「火」「痰」「瘀血」です。風は外から侵入することが多く、そ
 のほかの病因物質の多くは、体内で生まれます。

 一方、栄養不足による虚の耳鳴りの原因となるものには「腎陰虚」や「腎陽虚」といった腎の病変のほか、ほかの内臓に影
 響して起こる「肝腎陰虚」や「脾胃気虚」「気血両虚」などがあります。

 腎がおとろえる原因には、虚弱体質や老化、慢性病による基本物質の消耗、過労、飲食の不摂生、過度のセックスなどが
 あり、これらによって精が不足することが耳鳴りにつながります 
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 突然起こる激しい耳鳴りの症状と治療
 侵入した病因物質が急性の耳鳴りを起こす(風熱)

 病因物質(邪)に対する抵抗力「衛気」は腎で生まれます。また、肺は腎と協力して呼吸活動と水分代謝を
 行い、衛気を体の表面に送り出します。病気による消耗や食生活の不摂生、過度のセックスなどで腎の機
 能がおとろえると、正気も低下した状態になり、「風邪」が「熱邪」や「寒邪」をともなって経脈に侵入しやす
 くなります。

 寒邪は体内で熱邪に変わります。風熱の邪が経脈をふさぐと、激しい耳鳴りが突然起こります。
 強い難聴や悪寒、発熱、頭痛、関節痛、耳のかゆることもあります。 この場合には、熱を冷まし抵抗力を高めるものを使
 います。
 
 また耳鳴りがごく軽く、耳がふさがったように感じる場合には、機能を回復して経脈の通りをよくすると有効です。

                                                
 機能の停滞で生れた火が激しい耳鳴りを起こす(肝火上炎)

 肝は、基本物質の流れや、精神情緒・消化吸収機能を調節し、筋膜や腱に滋養と潤いを与える「疏泄」機能をもっていま
 す。ストレスなどで肝の機能が滞ると気滞と状態に成り、激しく燃え上がります。この火は実火といいます。

 火が経脈をふさぐと、強い耳鳴りや突発性の難聴が起こります。さらに、激しい頭痛や顔面紅潮、目の充血、口の乾燥、口
 が苦い、怒りっぽい、イライラ、不安感、不眠、便秘などの症状をともない、舌が紅く黄色い苔がつき、弦を張ったような脈を
 ふれ、脈拍数が多くなります。

 このような激しい熱性の症状をともなう耳鳴りには、肝の血や津液を補い火を消す必要があります。
 熱性の症状がそれほど強くないときは、肝の機能の滞りを解消し、血を補いながら熱を冷まし、腎の精を補い、肝の機能の
 亢進をしずめる事が大切です。
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 栄養の代謝が悪くなると急に耳鳴りが起こる(痰火)

 食生活の不摂生が脾胃の機能を失調させたり、ストレスによる肝の疏泄機能の亢進が脾胃を傷つけると(肝気横逆)、栄
 養代謝が悪くなって津液の流れが滞り、粘液性の痰湿に変化します。

 太りぎみの人も、やはり栄養代謝が悪く、痰湿がたまりやすい傾向があります。また、こってりしたものやあぶらっ濃いもの
 を食べすぎると、胃で熱が生まれます。こうして生まれた痰湿と熱が結びつき痰火とという状態になります。

 痰火が突き上げて、経脈をふさぐと、強い耳鳴りが起こり、耳がふさがったような感じになります。さらに、頭のふらつき、頭
 が重い、胸や腹が脹って苦しい、痰、咳、大小便がすっきり出ないといった症状が現れ、舌が紅くべっとりした黄色い苔がつ
 くほか、弦を張ったような滑らかな脈をふれ、脈拍数が多くなります。このような場合には、火をおさえ痰を除いて経脈の
 流れをよくすることが大切です。
   
 血液の流れの滞りも耳鳴りの原因になる(瘀血)

 気と血はいつもコンビで活動しているため、気が滞ると血も滞りますし、外傷などで滞ることもあります。血の滞りによって
 経脈がふさがれると、突発性の難聴とともに、強い耳鳴りが起こります。このときは、顔が黒ずむ、皮膚が青紫色になって
 乾燥しザラザラになるといった症状のほか、舌が紫色になったり斑点が現れます。この場合は、気をめぐらせ、血の流れを
 回復する必要があります。
   
 ■慢性的に起こる耳鳴りの症状と治療

 
生命エネルギーのおおもとが不足すると、慢性的に耳鳴りが起こる(腎陰虚)

 五十歳前後になれば、誰でも気力や体力が衰えます。このような老化現象は、生命エネルギーのおおも
 ととなる腎の精が慢性的に不足して腎の働きが衰えるために起こります。

 耳や脳に必要な滋養や潤いが不足するために起こる耳鳴りのほかに、頭のふらつき、のぼせ、イライラ、
 
 不眠、口の乾燥、喉の痛み、ほおの紅潮、腰がだるく無力、手足の熱感、午後の発熱などが現れ、舌が紅く苔が少なく、脈
 は細く脈拍数が多くなるときは、腎の精や津液を補います。

 また熱性の症状が強いときは、肝と腎の精や血、津液を補って火をおさえることも必要です。

 脾胃の機能のおとろえ「脾胃気虚」が原因で、疲労倦怠感、食欲不振、手足が無力、軟便あるいは下痢、消化不良、腹が
 脹ったり鳴るといった症状をともなうときは、脾胃の機能を高めて精や血、津液を補い、熱をおさえる必要があります

 血が不足して栄養不良「肝血虚」になり、顔面蒼白、目のかすみ、やせる、動悸、不眠、手足のしびれなどの症状が明らかな
 ときは、肝の血を補い機能の亢進を抑えます。
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 ●乾燥が進み、熱によって慢性の耳鳴りが起こる(肝腎陰虚)

 精が血に変化し、血が精から生まれ、精が腎に、血が肝にたくわえられるというように、腎と肝は密接な関係にあります。
 従って、腎の精や津液が不足すると、肝の血や津液も不足して「肝腎陰虚」、耳が栄養不良の状態になるので、耳鳴りが起
 こります。

 これは、陰虚が一段と進行した状態で、相対的に熱が強くなって乾燥度の高い燥熱に変わるため、頭のふらつきや脹り
 、めまい、視力低下、不眠、無汗、口やのどの乾燥、手足の熱感、月経異常、腰やひざのだるい痛みといった症状をともな
 い、舌が紅く乾燥ぎみで、脈が無力で細く弦を張ったようになります。
 このときは、肝と腎の精と津液を補って熱を冷まします。

 なお、肝と腎には、全身を温めて物質代謝を行う生理機能の相火がありますが、肝腎陰虚が進むとこの機能が亢進し、病
 因物質である火邪に変化して経脈をふさぐため相火妄動の、急性の激しい耳鳴りが起こることがあります。

 現れるのは火の症状ですが、原因は肝と腎の血と津液の不足にあるので、肝と腎の血と津液を補って熱をおさえます。
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 耳鳴りが、冷えをともなうケースもある(腎陽虚

 腎の精の不足が進んで、生命活動の原動力である腎の機能が損なわれるようになると「腎陽虚」、耳や脳に必要な熱量
 が不足するので、冷えをともなう耳鳴りが起こることがあります。

 顔面蒼白、元気がない、冷え、腰や下肢がだるく無力、頻尿、排尿困難、むくみ、軟便あるいは泥状便といった症状をとも
 ない、舌がむくんだようになって白い苔がつくほか、脈が無力になるときは、腎の機能を高めます。
      
 消化吸収機能のおとろえが耳鳴りの原因となる(脾胃気虚)
 
 食生活の不摂生やストレス、慢性病による衰弱、過労、虚弱体質などの原因で脾胃の消化吸収力が低下すると、全身の
 活動に必要な栄養素を十分につくって送り出す力が不足します(脾胃気虚)。そのため、耳や脳が栄養不良の状態になっ
 て耳鳴りが起こります。

 疲労倦怠感や食欲不振、手足が無力、軟便あるいは下痢、消化不良、腹が脹ったり鳴る、といった症状をともない、舌が淡
 い色になって薄い苔がつき、軟らかく弱い無力な脈をふれます。この場合は、脾胃の機能を高めます。
       
 機能の低下と、滋養の不足が耳鳴りを起こす(気血両虚)

 気と血は、ともに脾胃でつくられ、いつもコンビで活動しています。したがって、脾胃の機能が低下して気が不足すると、血
 も不足するようになります。耳や脳に必要な熱や滋養が不足するため、耳鳴りが起こるほか、疲労、倦怠無力、息ぎれ、頭
 のふらつき、目のかすみ、動悸、不眠、顔面蒼白、手足のしびれ、爪につやがない、月経血の減少といった症状をともない
 、舌が淡い色になって肥大せず、脈が細く無力になります。このような場合は気や血を補います

  
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