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ノロウイルス |
ノロウイルスはヒトに経口感染して、伝染性の消化器感染症(感染性胃腸炎)を起こす。 死に至る重篤な例はまれであるが、治療法は確立されていない。 |
感染経路 |
ウイルスを蓄積した食材およびウイルスで汚染された食品を喫食して経口感染するもの。患者からの伝染によっ て感染した患者の糞便や嘔吐物に排出されたウイルスから経口感染するもの。 |
感染性食中毒 |
ノロウイルスによる食中毒は、カキやアサリ、シジミなどの二枚貝によるものが最も多いと言われてきた。し かし現在ではノ ロウイルスは貝類自体には感染しないと考えられている。しかしこれらの貝では消化器官、特 に食物の細胞内消化を行う 中腸腺に、生物濃縮によって海水中から摂食されたノロウイルスが蓄積することが 知られており、このことが食中毒の原 因だと考えられている。 ノロウイルスの原因食材がカキと特定される割合は年々低下している。 |
症状 |
症状の始まりは突発的に起こることが多く、夜に床につくと突然腹の底からこみ上げてくるような感触と吐き気を催し、 吐いてしまうことが多い。それも一度で終わらず何度も激しい吐き気が起り、吐くためにトイレのそばを離れられないほど である。無理に横になろうとしても気持ち悪くて横になれず、吐き気が治まった後は、急激且つ激しい悪寒が続き、さらに 発熱を伴うこともある。 これらの症状は通常、1、2日で治癒し、後遺症が残ることもない。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くこ とがあり、死亡した例(吐いたものを喉に詰まらせることによる窒息、誤嚥性肺炎による死亡転帰)も報告されている。 また感染しても発症しないまま終わる場合や、風邪と同様の症状が現れるのみの場合もある。 よく、「嘔吐、下痢、腹痛を伴う風邪」という表現があるが、それはノロウイルスなどによる感染症である可能性も低くな く、単なる風邪ではない場合がある。 ただし、これらの人でもウイルスによる感染は成立しており、糞便中にはウイルス粒子が排出されている。 |
治療法 |
2007年現在、ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬は存在しない。下痢がひどい場合には水分の損失を防ぐために輸液な どを対症療法的に用いる場合がある。また止瀉薬(下痢止め)の使用については、ウイルスを体内にとどめることになるの で用いるべきでないと言う専門家もいる。 厚生労働省は止瀉薬使用を望ましくないと記載している。 |
漢方では |
漢方医学では、昔から霍乱病(かくらんびょう)といって、吐き下しと腹痛、腹満、 悪寒、発熱などで風邪に似た症状をあらわすものがあります。 また、下痢を症状の違いで、泄瀉(せっしゃ)痢疾(りしつ)に分類しています。 特にウイルス性の下痢は痢疾に該当にし、その治療法も明確に記されています。 古典の傷寒論に「大実痛のもの桂枝加芍薬大黄湯これを主る。」と明記されてお り、これはまさに細菌性下痢(食中毒など)のことを指し、大黄(便秘に使い瀉下 作用がある)をわざわざ配合し、この不要物(細菌)を速やかに体外に排出する治 療法を行っています。 数年前にO-157で多くの死者がでたことがありました。 これもウイルス性下痢で、下痢を止めた患者は重篤な状態になりました。 ※大実痛:激しい下痢と腹痛と腹満を伴うのに、下痢の回数は多いが出る分量は少ないもの。 |
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