竹矢来に石段の玄関口は、少し高級感が漂うが、実は、苦しいほど食べて呑んで5000円でお釣りがくる店。
駅から遠くはないが、ちょっと裏手で、よそにはない愉しい鍋があり、しかもこの値段は、掘り出し感いっぱい。
初めて訪れた時、「見つけたでぇ!」とニンマリしたのは、筆者だけではないだろう。
それが証拠に、焼酎のボトルキープが開店3カ月にして、早や50本もあるというのだ。
魅力の中心は、店名に誇らかに戴いた「たいたん鍋」2種。
豆板醤を隠し味にした”水でたいたん”鍋は、辛子醤油で食べる爽やかな味わい。
しかし、何と言っても真打ちは”だしでたいたん”鍋。
大量のイリコと地鶏のガラなどをくつくつ6時間以上も炊き込んだダシに、白味噌を入れる。そこへ10種ほどの野菜に豚肉、鶏肉、貝類に魚のすり身などをたんまり入れて炊き上げる。
煮えるまで、すり鉢とすりこぎでゴマをすって待つ。
グツグツときたら、すり鉢にたっぷりダシと具を取り、柚子ゴショウを薬味にしていただく。
こっくりと旨みあり、そのくせあっさりとしたダシは、ゴマの風味、柚子の香りをまとって、複雑に入り組んだ味わいで飽きさせない。
母体の寿司割烹のスタッフが、「旨いちゃんこ鍋を作ろう」と、2〜3年かけて考案した味だという。
最後にドサッと入れるラーメンがまたイケる。
一品料理もつついてビールも呑んで、5000円まで。近所に欲しい1軒だ。
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