阿弥陀寺だより

平成19年新年 第10号
  

あれから12年
   
住職 野口正晧

 6,434人の犠牲者を出し、未曾有(みぞう)の大惨事を引き起こした阪神・淡路大震災から1月17日で12年が経ちました。
 「去るもの日々に疎し」と言われますが、我々にとって決して忘れてはならないことです。
 阿弥陀寺では、毎月17日に犠牲になられた方々の御霊のご回向をさせていただいております。
 被災された北村和仁さんが、直後に書かれた詩を紹介して、往時に想いを馳せたいと思います。
    合掌
 
 「異星人」   北村和仁

 どうか僕を好奇の目で見ないでください
 スーツは崩れた家具の下にあります
 靴はどこかにいってしまいました
 今はこの青いヤッケと黒いズックがすべてです
 どうか僕を不潔なやつと思わないでください
 いつも行く床屋は潰れたのです
 髭(ひげ)を剃る剃刀(ひげそり)がないのです
 お湯を沸かすガスも水もないのです

 どうか僕の想いを汲みとってください
 ここからたった数十キロメートル離れた西の地で、寒さとひもじさと悲しさで、うずくまる多くの人たちがいるのです
 どうか一時の想いを神戸に阪神に、そして淡路に向けてください

涅槃会(ねはんえ)を
2月17日(土)午後7時からお勤めします

涅槃図 2月15日はお釈迦様がご入滅された涅槃の日です。
 阿弥陀寺では2月17日(土)午後7時から、念仏講と併修して涅槃会を行います。
 あの灼熱(しゃくねつ)のインドの大地を踏みしめて、尊い仏法をお説きくだされたお釈迦様の、りりしい生き方を学び、その教えを慕うことによって、清らかな人生を過ごし得ることと思います。
 皆様お誘いあわせのうえお参りいただき、共にお釈迦様のご遺徳を偲びましょう。

自分のことほどようわからん!?

 皆さんは自分のこと、どれくらいご存知でしょうか。意外と人間は、自分のことあんまりわからんものです。しかし他人さんのことは、よくわかります。
 「もう、あの人ほんまにしゃべりやで。あの人にうっかり言うたら、放送局やから、何言われるかわからへん」
 他人様のことはよくわかってますけども、わりに自分のことには気がつかない、そういう傾向がありませんか。
 いや、わからんというより、自分を見直そうとはしないんですね。
 宗教というのは、他人様のことをとやかく言うものではありません。自分自身のことを、まずよく見つめてまいりましょう、反省してまいりましょうというのが宗教です。
 あるところに、年寄り夫婦、おじいさんとおばあさんが住んでいました。冬の木枯らしが吹く寒い夕方でございます。お二人でこたつにあたりながら、隣の家をご覧になっておりました。おじいさんが隣の家をみながらおっしゃった。「おばあさんや見てみい。隣の家、障子がボロボロや。北風が吹いて寒いのになあ。障子ぐらい張り替えたらどうや。金なんて持って死なれへんのになあ」
 するとおばあさんが言いました。「はい、ほんまに。あんな、けちんぼにはなりとうございません」
 一体この2人、どこから隣の障子の破れを見ておったかというと、自分の家の障子の破れたとこから見ておった。
 そういう昔からの笑い話がございます。
 皆さんにはそんなことはありませんよね。

 


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