阿弥陀寺だより

平成22年夏季 第26号
  
施餓鬼(せがき)の心
     阿弥陀寺住職 野口泰宏

 施餓鬼は、読んで字の通り、餓鬼道(がきどう)にあって苦しむ一切の衆生に食べ物を施して供養する法要です。
 この法要は、ご先祖の追善供養をするのに、普段の供養回向よりも功徳があるとされています。
 しかし本来は、供養を受けられない無縁の精霊に供養するのがお施餓鬼ですから、その意味をよく理解することが大事です。
 つまり、あの世の餓鬼と見える存在は、今を生きている私たち生者と全く違ったものではなく、私たちが持っている欲の心とすぐ隣合わせの存在だというのです。
 ですから、この世での貪欲(むさぼる気持ち)に気づいて自らを反省することが大切です。「施(ほどこ)す手は欲を捨てる手」なのです。
 いずれにしても、仏教は心の持ち方が大事であると考えます。何ごとも皆、心が元となって現れるからです。
 たとえば花を見て、「きれいだなあ」と思うとき、その気持ちはその人の心をきれいにするので、それは仏心に近いものです。
 しかし、「きれいだから、枝を折って持って帰ろう」と思うと、たちまち貪りが生じます。その貪りが餓鬼や畜生(ちくしょう)の心を生むと考えるのです。
 木々の葉が光の方へ向いて成長するように、私たちも自分の心をきれいな方へ、貪らない方へ向ける事が大切です。
 お施餓鬼は、知らず知らずのうちに、貪りを生じている我が身を反省し、仏心に立ち帰ることを願って供養するおつとめと言えるでしょう。


8月2日(月)午前8時半から、おせがきのおつとめをします

 ご先祖先亡のご回向を行うお施餓鬼を、例年のとおりおつとめさせていただきます。
 ご先祖やご親戚で英霊が在るお家は、午前8時半までにお参りください。一般の回向の前に英霊回向があります。
 また、新たに永代せがきを申し込まれたお家(初盆のお家など)は、施餓鬼会の最後(午前10時半頃)に一霊ずつご回向させていただきます。
 ご親族の方々でお参りください。


お盆のお参り 町内は8月13日(金)

 お盆の町内の棚経(たなぎょう)参りは、8月13日(金)早朝より、お参りさせていただきます。
 一軒一軒、できるだけ早くお参りさせていただきたいのですが、時間の問題もあり、なかなか皆さんのご希望どおりにいかず、毎年ご迷惑をおかけして申し訳なく思っております。
 13日中には必ずお参りさせていただきますので、どうかご了承ください。


幸福への道とは(人としてできる6つのこと)

 「幸せになりたい」この思いは誰もが持っていることでしょう。そのために私たちができる6つの事を紹介します。

一、奉仕の心を忘れない
二、決まりごとや人との約束を守る
三、花のような柔(やわ)らかい和(なご)やかな心を持つ
四、今日のつとめに精を出し、励む
五、平常心を忘れず、あわてない
六、物事を正しく判断する


こんなことありませんか?
「聞くとするとは…」

 こんな逸話(いつわ)があります。 
 あるところに、法話を聞くのが大好きなお方がおられました。説教師の話を「うん、うん」とうなずきながら聞き、また笑い、ある時は感動し、とても良い気持ちになる、それはとても良いひとときには違いありませんが、それはただ聞いているだけの話。
 外に出たらもうすっかり話を忘れてしもうて、
「お腹すいたから、あそこでうまいもんでも食べよか」
「あそこはちょっと高いからやめとこ」
「あんたもケチやなあ」
「どっちがケチやねん。またおごってもらおと思ってるんとちゃうか」

 聞く時は 誠(まこと)と思う 法(のり)の道
  その場を立てば はや忘れけり


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