阿弥陀寺だより

平成17年秋季 第3号
  

本当の幸せとは

阿弥陀寺住職 野口正晧

 「自他法界同利益 共生極楽成仏道」

 浄土宗日常勤行式「四弘誓願」の終わり二行です。蓮の花
 私は次のように解釈しています。
 阿弥陀様の救いを信じ、お念仏を称えている私も皆さん方もみんな一緒に幸せになり、共にお浄土に生まれ変わって仏の道を歩みましょう。

 本当の幸せとは何でしょうか? 
 食べたいものが食べられ、行きたい所へ行け、欲しいものが手に入り、自分の思うようにことが運ぶこと。
 なるほどその通りかもしれません。しかし、それだけでは何かむなしい思いにとらわれるのではないでしょうか。
 生まれがたき人間に生まれ、大いなる縁(えにし)の生命(いのち)の中に生かされているからは…
@お互いにじっくり話を聞き合い、感動し(共感)
A喜びや苦しみ・つらさを分かち合い(共有)
B手を取り合ってこの世を渡ってゆく(共生)

 この三つを持ち合える人が、ひとりでもいること、つまり「四弘誓願」の理想を実現することが、本当の幸せではないかと思います。
 

もうすぐお彼岸
お彼岸って何?


 厳しい残暑が続いています。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように、お彼岸の頃には夏の暑さに別れを告げ、涼しさが感じられるようになります。
 先日、お墓参りに来ていたある子供さんからこんな事を質問されました。
 「あのなあ、うちのおばあちゃん、お盆と彼岸はみんなでお墓参りせなあかんやでえっていうんやけど、盆と彼岸ってどう違うん?」
 皆さんは子供さんやお孫さんからこんな質問を受けたらどうお答えになりますか?
 お盆は皆さんもよくご存知のように、ご先祖さまが極楽浄土から私たちのもとへ年に一度帰ってこられる日です。ですから、お墓へご先祖様をお迎えに行き、また終わりにはお墓へ送っていくのです。
 では、お彼岸とは何でしょうか。
 お彼岸とは、「彼の岸」と書きます。これは、私たちが生きている世界(此の岸)に対するもので、極楽浄土を意味します。
 合掌お彼岸の行事は、春分と秋分の中日をはさんだ前後三日間の計一週間に行われます。
 「中日には太陽が真西に沈むので、日没の彼方にある極楽浄土を想い、敬慕の心を持つべきである」と法然上人が師と仰いだ中国の善導大師が説かれているように、太陽の沈む方角に向かって、極楽浄土に想いをいたし、今の自分を育んでくださったご先祖に感謝し、極楽浄土に往生したいと決意を新たにするのが「お彼岸」なのです。
 またこの一週間は、六波羅蜜(詳しくは春号でお知らせします)の行を修め、日常の生活を反省し、仏道と信仰の実践を行う週間でもあります。
 国民の祝日に関する法律に、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」、秋分の日は「祖先をうやまい、亡くなった人をしのぶ」とうたわれています。
 最近の私たちは、何に対しても感謝をする気持ちが薄らいでいるように感じられます。ぜひ、お彼岸には家族そろって先立たれたご先祖をしのび、感謝の気持ちをささげましょう。
 人間は決してひとりでは生きてゆけないのですから…。


お彼岸のおつとめは
9月23日(祝)午後1時半から行います


 例年のとおり、秋季彼岸会の法要をつとめます。
 ご近所お誘いあわせて、阿弥陀寺へお参りください。
 


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