阿弥陀寺だより

平成23年冬季 第32号
  
「人として生まれて」
     阿弥陀寺住職 野口泰宏

 「人間に生る事、大なるよろこびなり」

 これは比叡山の名僧、恵心僧都源信(942〜1017)の言葉です(「横川法語」より)
 いまから約千年前、十一世紀に入ったとき、人間であることのありがたさと、救われる縁を自覚し、宣言した言葉です。悩むのも、悲しむのも、怒るのも人なら、心安らかになれるのも、また人です。
 われは人なり、と宣言できるのは、あなたも人間だという思いやりがあって成り立ちます。
 浄土宗を開かれた法然上人は、源信の教えと言葉を受け継いで次のように言葉を残されています。
 「うけがたき人身をうけて、あいがたき本願にあいて、おこしがたき道心を発して、はなれがたき輪廻の里をはなれて、生れがたき浄土に往生せん事、悦びの中の悦びなり」(「一紙小消息」より)
 これは、「めったになれない人間として生まれ、さらにめったに会うことのない阿弥陀仏の(皆を救おうとする)願いに接し、避けることの難しい六道輪廻の道からはずれ、生まれることの難しい浄土に往生できるのは、悦びの中の悦びにほかならない」と言う意味です。
 人として今あるうれしさ。今日という日を大切に、一日一日をかみしめながら、過ごさせていただきたいものです。

修正会(年始のおつとめ)は1月2日(月)午前10時から

 新年、最初のおつとめを1月2日午前10時から阿弥陀寺で行います。
 社会の平和と人々の幸福を祈って、法会(ほうえ)を修します。これを修正会といいます。
 無事に新年を迎えられたことをご本尊さまに感謝し、また、この一年すこやかに過ごせるよう、新しい年が幸せな年となりますよう共に願いましょう。
 皆さんお誘いあわせの上、老若男女を問わず、お参りくださいますようお願いいたします。


文殊会を1月9日(成人の日)に開きます

 智恵の仏様である文殊さまのおつとめを、阿間河滝町子ども会のご協力のもと、1月9日(成人の日)に行います。
 内容は、
◎子ども会の役員さんによる餅つき
◎とんど(古いしめかざりやお守りなどのお魂を抜いて火にあげます)、ぜんざいの接待
◎おつとめ、受験生の合格祈願、「コール・ブリランテ」によるコーラス
◎法話

 を予定しています。
 後日、子ども会の役員さんから配られる絵馬に「願いごと」を書いて、当日持ってきてください。

今年一年を振り返って

 今年も残すところわずかとなりました。
 平成二十三年は、私たちにとって忘れることのできない一年となりました。三月十一日に起きた「東日本大震災」では多くの尊い命が失われ、今なお不自由な生活をしいられた方々が大勢おられます。
 私たちは便利な生活にどっぷりとつかり、本当に大切なものを忘れかけているのではないでしょうか。
 今一度、足元を見つめ直し、大きな流れの中に生かされているこの命の有り難さを考えたいと思います。



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