阿弥陀寺だより

平成25年秋季 第39号
  
「死生(ししょう)ともに わずらいなし」
     住職 野口泰宏

 今年の夏も本当に暑い日が続きましたが、ようやく過ごしやすい気候になってまいりました。
 さて、私たちがこの世に生まれさせていただいたからには、みんな等しく平等に与えられるものがあります。何かおわかりでしょうか。
 それは、「老・病・死」というものです。つまり日々年老いていくということ、そしてどんな健康な人も一度は病気にかかる、そしていずれはこの世を去らねばならない死というものに直面しなければならないということです。
 「私には関係ない」「そんなことはまだまだ先の話や」「そんなこと考えてたら何もでけへん」と思われるでしょうが、いずれも人ごとではないのです。

 「生けらば念仏の功つもり 死なば浄土へまいりなん とてもかくてもこの身には 思いわずらふ事ぞなき」

 これは「生きている時は念仏の功徳が積み重なり、命尽きたならば浄土へ必ず参るのです。生きている時も、命が尽きてからも我が身には、思い悩むことが何もありませんよ」という法然上人のお諭しです。
 お念仏を申しているなら極楽往生は約束されています。 この世の命を終えた後も必ず必ずお浄土へと迎えとっていただく。死ぬとか死なないとか、病気になるとかならないとか、そんなことは気にせずに今日一日を全力でもって感謝の気持ちをもって生かさせていただく、これが念仏を申す者の生き方なのです。

お十夜の法要を11月17日(日)午後7時30分からつとめます

 お十夜のおつとめを11月17日(日)午後7時30分より、念仏講と併修して阿弥陀寺でおこないます。
 お十夜とは『無量寿経』というお経の中に「この世で十日十夜、お念仏に励むことは、極楽浄土で千年修行することよりもすぐれている」「十日十夜お念仏に励めば、必ず阿弥陀さまを見ることができる」と説かれていることから、毎年、秋の中頃に営まれている法要です。
 おつとめの後、元修斉小学校々長の近葉善忠さんらによる落語奉納を予定しています。
 皆さんお誘いあわせの上、老若男女を問わず、お参りくださいますようお誘いいたします。

「五重(ごじゅう)」ってなに?

 「和尚さん、五重って受けたほうがよろしいか」と聞かれることがあります。
 五重とは正式には「五重相伝会(ごじゅうそうでんえ)」といい、南無阿弥陀仏のお念仏の教えの真髄や奥義を伝える、600年以上の長い伝統と厳粛な儀式を受け継いだ浄土宗独特の法会です。
 普通、五重とは5枚重ねたという意味、相伝とは代々、受け継いで伝えることを意味しますが、五重相伝の五重には特別な意味があります。
 それは、お念仏の教えの特に重要な5つの要点という意味と、お念仏の教えの基礎から一つずつ初重、二重、三重、四重、第五重と積み重ねて真髄にまで至るという意味があります。
 5日間、お念仏の信仰を深めるお話と儀式が順序よく組み立てられていきます。
 現代のような世知辛い時代にこそ、五重相伝の必要性があると思います。


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