阿弥陀寺だより

平成29年冬季 第56号
  
法然上人の問答集
      住職 野口泰宏

 さまざまな人々からの質問に対して、法然上人自らが答えた問答集として『一百四十五箇条問答』(いっぴゃくしじゅうごかじょうもんどう)があります。
 八百年以上が経った今でも、うなずけるようなそんなやりとりをいくつか紹介します。

 
一つ、酒飲むは罪にて候か。
 答う、まことには飲むべくもなけれども、この世の習(ならい)。

 
「お酒を飲むのは罪になるのでしょうか」
 「お答えします。本当は飲んではならないものですが、この世のならいなので」


 
一つ、産の忌(いみ)幾日(いくにち)にて候ぞ。また忌も幾日にて候ぞ。
 答う、仏教には忌という事候わず。世間には産は七日、また三十日と申すげに候。忌も五十日と申す。御心(みこころ)に候。

 
「お産をしたら、忌み(物忌み)は何日間でしょうか。また、物忌みは何日間するものでしょうか」
 「お答えします。仏教には物忌みというものはありません。世間ではお産は七日、また三十日と言っているそうです。一般に物忌みも五十日といいます。しかし、お心のままです」

 
一つ、我が料の臨終の物の具、まず人に貸し候はいかが候べき。
 答う、苦しからず。

 「私のための臨終の時に必要な道具を用意していたのに、他人のために貸したりするのは、どんなものでしょうか」
 「お答えします。なんの差し支えもありません」


 実におおらかな教えですね。 続きはまたの機会に…。

修正会(年始のおつとめ)は1月2日(火)午前10時から

 新年、最初のおつとめを1月2日午前10時から阿弥陀寺で行います。
 社会の平和と人々の幸福を祈って、法会(ほうえ)を修します。これを修正会といいます。
 無事に新年を迎えられたことをご本尊さまに感謝し、また、この一年すこやかに過ごせるよう、新しい年が幸せな年となりますよう共に願いましょう。
 皆さんお誘いあわせの上、老若男女を問わず、お参りください。皆さんとともに、新年を寿(ことほ)ぎましょう。

文殊会を1月8日(成人の日)に開きます 

 智恵の仏さまである文殊さまのおつとめを、阿間河滝町子ども会のご協力のもと、1月8日(成人の日)に行います。
 内容(予定)は、
◎とんど(古いしめかざりやお守りなどのお魂を抜いて火にあげます)、ぜんざいの接待
◎おつとめ、受験生の合格祈願
◎「コール・ブリランテ」によるコーラス
◎三味線坊主によるお話と演奏


 を予定しています。
 後日、子ども会の役員さんから配られる絵馬に「願いごと」を書いて、当日持ってきてください。たくさんのお参りお待ちしています。

法然上人のお歌から学ぶ その3

  雪のうちに仏の御名をとなふれば
     積もれる罪ぞやがて消えぬる
 (ゆきのうちに ほとけのみなをとなうれば つもれるつみぞ やがてきえぬる)

 
(意味)
  雪が日に照らされるとすぐ解ける様に、私たちが積もり重ねてしまった罪も、仏の御名を一心に唱えたならば、ただちに消えてしまうでしょう。


 この歌は、年の瀬の雪の日にお勤めする仏名会によせて詠まれたお歌とされており、浄土宗大本山の一つである京都清浄華院(しょうじょうけいん)の御詠歌とされています。
 その意味は、お念仏、すなわち阿弥陀様の御名を称え、罪を悔い改めようと一心に勤めれば、それは雪が太陽の日に照らされるとすぐ解けていく様に、私たちが積み重ねてしまった罪も、阿弥陀様のお慈悲の力によって、たちまちに解け、消えていってしまう有難さ、功徳をよまれたものであります。
 自然の姿をもって、阿弥陀様のお慈悲に例えたこの歌は、法然上人の素直な澄みきったお心をうかがえるようであります。


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