阿弥陀寺だより

平成18年夏季 第7号
  

「池波正太郎の言葉」
   
住職 野口正晧

 「鬼平犯科帳」、「剣客商売」などの作品で知られる作家、池波正太郎は随筆の名手としても有名でした。
 その中から二つほど紹介します。

 《収支の感覚》
 この頃の家にはドアというものがやたらとあるんですけれども、あれも収支の感覚からいうとまちがいです。
 狭い家には開き戸なんてもっとも邪魔なんです。
 開く部分にはタンスもおけないしね。ぼくの家は全部引き戸です。ある部屋なんか、四重の引き戸ですよ。
 日本人は、戦後、そういう狭い国の狭い場所に発達した細かい知恵を余りにも忘れすぎたね。
 
『新 私の歳月』(PHP文庫)より

 《膨張》
 いったん膨張したものは元には戻らない。今の世の中をごらんなさい。何もかもが、あまりにも膨張してしまって、結局、昔のものというものは全部なくなってしまった。何でも新しくなっているわけでしょう。
 終戦後、高度成長のおかげで国民の生活は豊かになった、便利になったというけれど、同時に二度とあと戻りできないものに膨張してしまった。これは恐るべきことだよ。
 『男の系譜』(PHP文庫)より

誰もが持ってる四苦八苦
お釈迦様の悟られたことは…

釈尊
 皆さんは大変な目にあったとき、「四苦八苦(しくはっく)しましたわ」と言いませんか?
 この「四苦八苦」とは、「人生は苦である」という仏教の根本思想です。今回はお釈迦様がお悟りになった「四諦八正道」(四つの真理と八つの正しい道)をまとめてみました。お釈迦様の教えを一緒に考えてみましょう。

◎四諦(したい)
・苦諦(くたい)… 「苦」についての真理
 この世の一切が「苦」であり、「四苦」がその基本である
          

・集諦(じったい)… 「原因」についての真理
 この世の「苦」には必ず原因がある。それは「とらわれ」や「欲望」である
       ↓
・滅諦(めったい)… 「原因を滅する」真理
 「とらわれ」や「欲望」を断てば、「苦」はすべて消える
         
・道諦(どうたい)… 「方法」についての真理
 「とらわれ」や「欲望」を断つための「修行法」
         
四苦八苦(しくはっく)
@生
A老
B病
C死

D愛別離苦(あいべつりく)
…愛する者と別れる苦
E怨憎会苦(おんぞうえく)…怨み憎む者と会う苦
F求不得苦(ぐふとっく)…求めても得れない苦
G五陰盛苦(ごおんじょうく)…自己に執着する苦

◎八正道(はっしょうどう)
@正見(しょうけん)
…正しく四諦の道理を見る
A正思惟(しょうしゆい)…正しく四諦の道理を考える
B正語(しょうご)…正しい言葉を語る
C正業(しょうごう)…正しいおこないをする
D正命(しょうみょう)…正しい生活をする
E正精進(しょうしょうじん)…正しい努力をする
F正念(しょうねん)…正しく四諦の道理を見る目的を念じ、忘れない
G正定(しょうじょう)…正しく精神を統一し、安定させる


お施餓鬼(せがき)のおつとめは8月2日(水)に行います

 ご先祖先亡のお供養を行うお施餓鬼を、例年のとおりおつとめさせていただきます。
日時 8月2日(水) 午前8時半より

※ ご先祖に英霊が在る方は、8時半までにお参りください。
  また、新たに永代せがきを申し込まれたお家(初盆のお家など)は施餓鬼会の最後(10時半すぎ)に一霊ずつご回向させていただきます。ご親族の方々でお参りください。。


 


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