阿弥陀寺だより

令和5年春季 第74号
  
お彼岸の起こり

  
 彼岸会はインドでも中国でもなく、日本ではじめられた行事です。
 その最初の記録としては、大同元年(八〇六)崇神天皇のために国分寺の僧に、春秋二季の七日間にわたり、金剛般若波羅蜜多経を転読させたのが彼岸の行事のはじめといわれます。
 彼岸会は平安時代の半ばには恒例の行事になっていたようです。また彼岸を春分、秋分の日(の前後七日)にさだめたのは、次のことが起源とされます。
 中国、唐代の僧で中国浄土教を大成した善導大師の『観無量寿経疏』の中に「念仏して西方浄土の往生を願うには、春(三月)・秋(九月)の、日が真西に没する時期がもっともふさわしい。なぜなら浄土は日が没する真西の方位にあり、その方位を念じて往生を願うことは浄土を思い起こすのにふさわしいからだ」という意味のことが説かれています。
 つまり浄土の教えでは『彼岸は西方浄土であり、浄土を念ずる日である』ということになります。
 また別の説では「在家の人は普段は生業に忙しく、仏道を修行したり、善根功徳を積むことが容易ではないので、春秋二季の七日間、悪を止め、善い事を実行する週間と定めたのが彼岸の行事である」というものです。
 なお、一九四八年に制定された「国民の祝日に関する法律」には、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」であり、秋分の日は「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ日」とされています。
 春分・秋分の日が「中日」と定められたのは天保十五年(一八四四)の天保暦からです。
 いずれにしても彼岸は「私たちが今、生かされていることに感謝する日」なのですね。
           合掌


春季彼岸会のおつとめは
 3月21日(祝)午後1時半から


 今年も春の彼岸が近づいてきました。
 今年の彼岸の入りは3月18日(土)です。
 例年のとおり、春季彼岸会の法要をつとめます。
 ご先祖や有縁の方々のご回向をさせていただきます。先立たれたご先祖を偲び、今生かされている感謝の気持ちを、阿弥陀様にささげましょう。
 ご家族、ご近所お誘いあわせて、阿弥陀寺へお参りください。
 なお、新型コロナウイルスの感染状況により、お参りを控えていただくこともあります。ご了承ください。


仏具のおはなし 

 仏前のお供えで、一番基本になるのは、お香とお華とお灯明です。これらを供える仏具である、香炉(線香立て)、花立て、ろうそく立ての三つを「三具足」といいます。
 香炉は真ん中に、花立ては向かって左、ろうそく立ては向かって右に置きます。
 具足の「具」は、そなわる、「足」は足りること、つまりよくそなわって、満ち足りるという意味なのです。
 また、花立てとろうそく立てを左右に一対ずつかざり、香炉を中央に一つお供えすることを「五具足」といい、本式の荘厳の仕方です。
 普段のお仏壇のお飾りは、「三具足」で十分です。
 大事なことは、まごころを持って仏さまやご先祖にお供えするということだと思います。
 そうすることで皆さんの気持ちも、きっと満ち足りたものになると思いますよ。
 

 



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